[日本語の語源説]

でばがめ【出歯亀】

『新聞集成/明治編年史』第十三巻 p438に、東京二六新聞6/17の記事あり。

 獣慾の為に、哀れ幸田エン子の一命を奪ひたる兇漢池田亀太郎を、出歯亀と綽名する処より、彼に類する行を為す者は誰でも出歯亀といひ、二代目三代目と云ふやうになりて、中には怪しかる挙動を為す事を出歯るなどと洒落て動詞に用ひるものなど出来たるが、同人の公判開かるるに及びて、同人の人相が公衆の前へ晒されて、さまで目立つといふ程にもあらぬ歯を出歯という綽名如何にも訝しと疑ひを懐く者少からざるが、さる出歯亀のいふ所によれば此奇妙なる綽名の出所には都合三説あるがごとし。即ち第一説には亀太郎は何事にも妄に口を出したがる癖あり、何にでも出張りたがるより出張亀の称ありといひ、第二説には同人の歯は普通いふ如く少し出て居るに起因せりといひ、又亀太郎は性質頗る短気に且荒けなく、事あれば妄に出刃三昧を為すより、出刃亀といふなりとの三説なるが、亀の妻スヾ其他同人を親しく知れる人々の説を綜合すれば、第一説最も有力にて出歯亀は出張亀の訛伝なるが如し。
(原文の旧字を新字にした)

(『明治ニュース事典』第八巻 p230にもあり(新字新仮名)。なお、同書pp226-231には「出歯亀」の新聞記事がまとめてある。)

【評】
「さる出歯亀のいふ所によれば」というのが面白い。綽名は、人が付けるもので本人にはその由来が正しく知らされないこともあろう。
交差語源の可能性もあろう。「よくデバる奴だし、そういえば出っ歯だ。デバ亀と呼ぼうじゃねえか」という具合に。

『日本語源大辞典』では、『明治事物起源』「ヰタ・セクスアリス」を引く。

この項は、黌門客[ことばへの誘い]デバカメの由来に教えられて記したものである。

樋口清之監修『語源ものしり辞典』では、
法廷で弁護士が「この被告出歯亀」をしきりに連発し
とする。

コメント(1)| Track back(0) | 2005-03-08 21:47:39

■ Unknown
トラックバック、有難く存じます。
当時の新聞記事を読むことがかなって、たいへん嬉しく存じます。ところで、「交差語源」の可能性には思い至りませんでした。また、いろいろと学ばせていただきます。
Tashima (2005-03-10 01:31:01)


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