[日本語の語源説]

くさぞうし【草双紙】

笹川種郎「黄表紙概説」(『評釈江戸文学叢書洒落本草雙紙集』昭和11年)

『近世物之本江戸作者部類』に、「この册子は表紙に至るまで薄様の返魂紙にして、悪墨のにほひある故に、臭草紙の名を負はしたり」とあるが、草雙紙のくさは臭ではなくして、軽少の意味で、軽い草紙と云ふ義に外ならない。



【補】
『日本語源大辞典』には項目がないが、『日本国語大辞典』では、「臭双紙」説と、「草仮名の双紙」説を示す。「語源説」欄ではないので、出典がわからない。
『日本古典文学大辞典』(岩波書店)を引くと、「草双紙」は鈴木重三氏の執筆で、
「草」の字義には諸説あり、(1)読み物の草子の意〈嬉遊笑覧・巻三〉、(2)粗末なすきかえし紙の悪墨の臭気から臭(くさ)草紙の称〈近世物之本江戸作者部類〉、(3)草仮名で記した故〈俚言集覧・増補〉、(4)草相撲などのごとく正式のものに対する称〈温知叢書本『近世物之本江戸作者部類』小宮山綏介頭書〉等が主要説であるが、ほぼ(4)の非本格的・通俗的の意とする説が妥当視され、草双紙の称は一応通俗的読み物の一般的呼び名と解される。

とある。今引いた笹川氏の文も(4)。

小宮山綏介頭注は、
草雙紙を臭草紙なりと云るは曲亭がいはでもの記の謬説を襲しなり
万治二年四月二日振売一草草双売とあり 官府の令豈書〓[イ會]等の私称を用らるべきや
又云 草双紙はもと草草紙なれども草字重りてまぎれ易き故 通音の字を借て草双紙としたるなり
武家の職名なる小小姓を児小姓としたると同じ
又仮名文に紅葉葉をもみち葉とかくも亦同じ
亦云 凡草と云は正式の者に對して唱るなり
草角力 草芝居の如し 又商売にも草物と云もの多し 委くは其品に就て知るべし
(原文・片仮名)

というもの。作者未詳としているので、馬琴の謬説を襲う、とみることになる。小宮山綏介(1829-96)は、水戸出の漢学者。

コメント(0)| Track back(0) | 2005-03-01 00:10:28

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